“ヤブ”の正体は?知られざる「藪医者」の語源と背景

誤解されている語源

現代の日本語では、「藪医者」と言うと「腕の悪い医者」「信用できない医者」という意味で使われます。

ちょっとひどい言い方ですが、俗語として定着しています。

では、なぜ「藪(やぶ)」という漢字が使われているのでしょうか?

語源のポイント:「藪」とは何か?

「藪」は、元々「草や木が生い茂っている場所」を意味する漢字です。

つまり、「見通しが悪く、ゴチャゴチャしている場所」というイメージ。ここから転じて、

  • 「藪のように見通しが悪い」=「診察があてにならない」
  • 「藪の中にいるように、症状の原因がはっきりしない」=「いい加減な診断」

という意味合いで、「藪医者」という言い回しが生まれました。

江戸時代のことわざにルーツあり?

実は「藪医者」という表現は、江戸時代にはすでに使われていたとされます。

当時の川柳や落語にも登場しており、すでに「下手な医者」「命を預けてはいけない医者」というネガティブな意味合いで用いられていました。

また、こんな説もあります:

「藪の中の医者」=「田舎の医者」=「あまり腕の良くない医者」

つまり、都会ではなく辺鄙な場所、いわば「藪のような場所」に住んでいる医者=信用できない、という偏見から来たとも考えられます。

ちょっと差別的ですが、当時の価値観としてはあり得る発想です。

関連語とのつながり

面白いのは、他にも「藪」がネガティブに使われている言葉があることです。

  • 藪から棒(やぶからぼう)
    突然何かが起こること。藪から突然棒が飛び出すような、予想外の出来事。
  • 藪の中
    真相が分からない状態。芥川龍之介の小説『藪の中』のタイトルでも有名ですね。

どれも「藪=不明瞭・予測不能」という意味で使われています。そこから考えると、「藪医者」もまた、「結果が読めない」「信用できない」というニュアンスがあるのですね。

まとめ:なぜ今も「藪医者」と言うのか?

現代では医療のレベルも上がり、地域差も以前ほどではなくなっていますが、それでも「藪医者」という言葉は残っています。それは、

  • 不信感の表れ
  • 昔の言葉の名残
  • ちょっと皮肉めいた表現として便利

という理由があるからかもしれません。

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